昨年末、桜並木の中で虚の出来た古木を伐採して、昨日からその後に若木を植え始めた。家の前の木は場所を少し内側に移動させて植えるということで、邪魔になるからとビワの木も切られた。市の所有場所でもあるし、野良ビワでもあるし、市の決定に従うしかないのだけども、ようやく毎年実をつけるようになったばかり(まだ数年)だったので残念でもある。市販のものよりは実自体も小さいし、甘みも少ない。それでも育っていく様はご近所さんたちの楽しみでもあったし、成った実をご近所さんと食べたり、酒につけたりと、この場所では珍しい豊穣の実感でもあった。だらだらと言葉を連ねたけども、結局は寂しいのだ。今日、ビワのあった場所には大きな穴が掘られて、桜の若木がスンと立っている。数年もすればそこには桜の木があることが当たり前の風景になるだろう。草むらが空き地になり建物ができ、それが風景になるのと同じことだ。ノスタルジーなんて腹も膨れないしな。ただ、ビワは美味しかった。収穫を楽しみにしていたご近所の人達や、たまたま収穫の日に買い物に来て「いいんですか?」と嬉しそうに一房下げて帰っていった人たちがいた事を、そこにそういう恩恵をもたらしてくれたビワの木があったことを、私は覚えていようと思う。

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